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香港。
そこは世界中からの観光客が集まる場所。
金髪を光に反射させている者、カメラを首からかけた東洋人。
皆、活気に溢れた楽しい顔をしている。
少し小奇麗な通りに、一際目立つ白いビル。
店の名前と思しき看板は金メッキでぴかぴかに装飾されている。
ガラス戸から中を覗くと、長髪を一つに束ねたメガネをかけた青年が、一組の夫婦の相手をしている。
「・・・ですと、このくらいのお値段が妥当かと」
「あら、少しお高いのではなくて?」
「こら、お前」
「そうですか、ではこのくらいでお勉強させていただきたいかと」
「・・・・あらっ、まぁ・・・」
「このサイズのダイヤで、この値段っ?!」
「どうですか、旦那様」
「お前」
「ええ、文句のつけようが無いわ。これ、いただきます」
「ありがとうございます、いつもご贔屓くださって」
「いえいえ、沐絲さんったらお上手なんだから」
流暢な英語で、沐絲と呼ばれた青年は英国の資産家の夫妻を見送った。
と、沐絲が窓の外を見る。
途端に、彼の薄笑いだった笑みが、ぱぁっと輝いた。
「乱馬、あかね!それに良牙も!」
「おぅっ、久しぶりだな!」
重たいガラス戸を難なくあけ、沐絲は親友を迎え入れた。
乱馬の妻であるあかねは、感極まって沐絲に抱きついたりしている。
「わぁ、あかね!」
「ごめんごめん、でも、本当にひさしぶりだね!」
「ええ、本当に」
柔らかく笑いながらあかねの頭をなで、そっと引き離す。
沐絲はそっと顔を上げると、男2人に向き直った。
「本当、久しぶりですね、2人とも」
「おう」
「お前、子供ができたんだって?」
2人の言葉に沐絲は頬に朱を刺して頷いた。
「ええ・・・・」
「おめでとう」
「本当に、おめでとう!」
「・・・よかったな」
三人の祝福に、更に沐絲は頬を赤らめて礼を言う。
「本当に、ありがとう。
ルージュの方にもあわせて差し上げたいが、今は悪阻が酷いらしくて臥せっているんです」
「そうなの?」
「ええ」
しばしの沈黙。
乱馬が口を開く。
「しかし・・・・」
「何ですか、乱馬」
「いや、なんでもない」
「・・・?相変わらずおかしな人です」
おかしいのはお前だろう、と言ってしまいそうになった乱馬だが、ぐっと押さえて、容姿こそかわらねど口調から何まで変わってしまった親友を悲しげに、見つめた。
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続き、あります。
今日は書かないけど。
誰か、挿絵か漫画を、私のためにかいて下さい。
泣いて喜びます。
投げキッスのオマケつきで(いらねぇ
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