丁度、窓から外を覗いていた。
昼休みで、竜馬と喋っているのにも飽きてしまって、ただボーっと窓から外を覗いていたのだ。
そしたら、隊長がいた。
ててて、と可愛らしい音を立てて走っている彼女に。
俺はずっと前から彼女に心を惹かれていた。
自然と、目が行く。
この状況では。
彼女が行きついた先に、見知った姿があった。
茶色く染め上げ腰まで伸ばした髪を四つに分けてお下げにし、目元にハートマークのタトゥを刺れている、兄。
その兄の胸に、これでもかといわんばかりに喜々として飛び込んでいくのは、他でもない石田咲良、中隊長。
兄は、そのまま愛しそうに隊長の髪の毛を撫ぜている。
チクリ、チクリと胸が痛んでいる。
何故だろうか。
だが、そのうちに、兄と、隊長が口付けを交わしているのを見て。
俺は何故だかそのまま崩れ泣いてしまった。
心配している竜馬の顔が。
その時とてつもなく不愉快に見えた。
悔しくて泣いてしまえばいいよ。
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